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いなかの猫の天邪鬼部屋

第8話

第8話 彷徨

水面上に現れたドウの存在で新しい局面に遭うドリームチーム。
このまま崩れるのか、再び立ち上がるのか。
そしてウンスに見捨てられたドウの心もまた、あてもなく彷徨い…


01.巻き添えを食った場所で徒労にだけ終わったシンの屈辱

ドウが決心すれば警察に申告してドリームチームの詐欺劇を前もって防止する事も出来たが、ドウはむしろ'ジュハイ開発締結'という速報がニュースに乗る前に、前もってチェドンの株式を全部買い集め、'詐欺'という事が発覚する前に売ってしまうやり方でドリームチームの作戦に便乗し、自身の利得を整える、とても巧みで明敏な方法を選択する。
ドリームチームがいくら飛ぶ勢いを見せても、ドウの資本力に比べれば、ムンホの言葉のように'恐竜の前の蟻並'でしかなく、チェドンという大企業を揺るがすには役不足なのだ。
ドウは今回の詐欺劇を利用して買い集めた株式を上限価で売り、その利益で、すぐにジュハイ開発の件が詐欺だと明らかされれば急落する事になるチェドンの株式を安く買い集め、追い出されていたチェドンに大株主として地位を自分の物にする事が出来るチャンスとして転回させる。
チェドンをめぐって対立するチェ会長とドウの権力争いが存在するという事を遅れて知る事になったシンは、ドウに一発食わされたという敗北感に自尊心が傷付く。
負けられないと、ギョンテの蟻軍団を利用して逆にドウに便乗しようとするが、ギョンテは危険負担が大きいと躊躇し、シンはそんなギョンテを戒めて勝負に執着する姿を見せる。
このうえなく個人的な望みに関連したドウとの闘いに巻き込まれた蟻軍団を危険な状況にさらそうと駆り立てる事は、シンらしくない事だ。
面会所でドウが縁起でもない発言をし、ギョンアまで奪われたシンの、ドウに対するコンプレックスがこれほど大きかったのかと思う。
だが、事実ドリームチームの今回の詐欺劇できちんと取り分を整理した事は事実だが、なぜ今回の計画が失敗したかは、すぐにチェ会長のカミングアウト(?)で、シンとドリームチームもついぞ想像出来なかった物々しい真実が明らかにされる。
その間、ドリームチームがチェドンをつぶそうとした最も大きな目的は、シンの兄を死に追い込んで行った事も知らずジェミョンの父を殺した決定的な要因を提供したものがチェドンだという限りなく個人的な原因に胸を痛めた復讐劇だった。
だが、チェドンの中でも、この事はチェ・ドウがチェドンの意思とは関係なく独自的な判断下で仕立てた事で、ドリームチームは巻き添えを食ったチェドンとチェ会長を狙うが、よそ見をする間に本当の宿敵ドウには利益だけを持たせるという間抜けな失敗をする屈辱を残してしまった。

02.意外な伏兵、ドウを総攻撃するように

ドウの存在が浮かび、パニック状態のドリームチームと違い、勢い良く上昇曲線に乗るチェドウも、伏兵一人のためにふらついていたが、それはまさにチェ・ウンスだ。
ドリームチームの作戦に便乗して地位を固めたドウは、父チェ会長を訪ね、息子である自分を信じられなかった事による当然の結果だとチェ会長の過ちを追及し、チェドンから退く事を、非理を理由に脅迫する。その過程で、チェ会長が衝撃で倒れ、ウンスは屋根裏部屋でその全ての現場を目撃してしまう。
その間、ウンスの前では限りなく優しい兄役をしていると自任していたドウは、シンの面会に行くウンスに反対も出来ず、目の上のタンコブのようだったチェ会長を冷たく突き放す事も出来ないまま一つ屋根の下で、チェ会長の持つ視線と屈辱を甘受しなければならなかった全ての努力が水の泡のように消える瞬間だったから、大抵の事には目一つ瞬かせないドウでもうろたえざるを得ない事だった。出世欲に目が眩んで実の父まで突き放す'悪い兄'として刻みつけてしまったドウは、ウンスの恨みに滲んだ視線で深い絶望感に落ちてしまう。
世界に怖い事が一つもないドウが最も恐れる事は、ウンスを失う事だ。
ウンスから憎悪を受けてしまったという事実一つで全てを失ったドウは、救いようのない感情を持て余して彷徨った。

03.チェ・ドウとソ・ギョンア、その似通った有様の孤独人たち

ウンスを失った深い喪失感に心身ともに疲れてしまったドウはギョンアに誰にも言えなかった'秘密'まで打ち明ける。
幼い頃、病気の母を自身の手で殺したという過去を独り言のように詠じたドウは、ウンスまでも自身から去り、絶望する。母を守ってやれずに見送ったドウは、ウンスだけは自分の胸でこの上なく大切に守りたかった存在だ。だが、ウンスがある瞬間からドウの世界を超えて世界の外に関心を持ち始め、ドウの胸から抜け出ようとし、ドウは自分から去った'母'のトラウマを刺激される。母を失った後、唯一ドウに残った'人間'であるウンスまでもドウの傍を去り、この世界に一人残される事に耐えられないドウの姿には恐れすら過っていた。
天下のドウにもウンスは恐れほど大事な存在だったという事だ。捨てられた子犬のように痛々しいドウは見慣れないばかりだ。青い血が流れるだけのようだったドウにこんな表情をさせるものは、ウンスの他にないのだ。
常に冷徹で完璧なドウの姿だけ見ていたギョンアも、ドウのこんな意外な姿に痛ましさを感じる。全てを捨てて金を選んだギョンアは結局金を持ったが、金として満たされない、金が与える虚無感にひどく寂しくなっていた。
ドウとギョンアはそんなふうに同じ世界に残った孤独な人たちだ。
その間、ドウとギョンアは互いの利益を追求して共生する徹底したビジネス関係だった。ただの一度も互いの私生活や私的な対話を交わす事なく、適正線を維持して来たが、ドウが自身の傷を隠せないほど疲れていたこの日、ギョンアはドウに憐憫を感じ、ドウは自分と同じ世界に残った孤独人、ギョンアという似通った有様に好奇心を刺激される。
"ジェニー'、それ以上でも以下でもなかったが、ジェニーの本名を尋ねるドウは、初めてギョンアの存在を認めるという発展を見せる。他人について関心を持たないドウは、必要でもない誰かの'名前'に初めて関心を持つ事になる。これは、ドウに占めるギョンアの比重がそれほど大きくなった事を意味する。
勿論、ドウがギョンアに感じた感情は、痛ましさや憐憫のようなもので、愛ではない。ただ、同じ世界で同じ傷を持った孤独さが同様にあるという事に対する慰安という事が、よりもっともらしいのではないか。

04.平行線に遭ったキム・シンとソ・ギョンア

'ジュハイ建設詐欺'の件でチェドンの金を盗み取るのには成功したが、本来主要だった復讐は、ドウという敵を排除したまま徒労に終わったドリームチーム。金儲けの面では良かったが、復讐面では、金儲けどころかチェドンから追い出されたドウが再起出来るように場を広げ与えた格好になった最悪の結果を招く。
仮に復讐は失敗に終わったとしても、充分な金を稼いだシンは、再びギョンアを取り戻せるかもしれないという希望で、ギョンアの心を取り戻す最大に派手なイベントを準備する。
だが、最初にテンプロで金がないという理由でシンを拒絶したギョンアが、最高級リムジンを同行して劇場全部を借りて再び戻って来てくれる事を頼んだシンを、再び冷情に拒否する、理解に苦しむ態度を見せる。金にも級(レベル)があるというギョンアは、もうシンが超えて見る事が出来ない野望を持った女に育ってしまった。
シンが金でギョンアの心を再び振り向けるとしたら、それはギョンアの心を金で買う事になってしまう。もうシンとギョンアは一緒に同じ世界を眺める事が出来ない関係に転落した。シンが大金でギョンアを誘惑しても、金でギョンアを買う事になってしまった二人は、もう無条件に純粋な関係に戻る事も、また金に慣らされたギョンアが無条件にシンに戻る事も出来ない。
ギョンアは、シンが自分の生きて行っている世界に耐え抜く事が出来ない事をよく分かっている。
ギョンアにとってシンを守る事が出来る唯一の道は、シンが自分のように金の奴隷にならず、ひと時だけ自分が彼と一緒に生きていた'彼の世界'にいるように、その場所にそのまま置く事だ。
もう戻れない川を越えたギョンアにとってシンは、眺める他ない世界の人だ。既に金の奴隷に転落したギョンアは、シンだけは純粋なままで残して代理満足を感じたかったのだ。
冷たく立ち去ったギョンアの空席を前にシンは、もはやどんな手でもギョンアを取り戻す事が出来ない事を悟る。どうにもしようがない強要によるのではなく、ギョンアの野望がシンの世界では成せない事を、そしてその野望を成させる事が出来るのが、自分ではなくチェ・ドウだという事を認める。
そして、それを認めた瞬間、その間ギョンアを諦められず'保留'していたシンはようやく全ての未練をダイヤの指輪と一緒に捨てる事が出来るようになった。

05.再整備されたドリームチーム、力のかぎり攻める

以前までジェミョンは父ド・マンフィを殺した仇を討つという一念でドリームチームに合流していたが、父の死が不審なだけで確実に明らかにされた事がなく、事故死なのか他殺なのか確信出来ていないのが事実だった。
だが、今回の事でドウの存在が水面上に浮かび、自然に彼の腹心ケイの存在も浮かび、もはやジェミョンは自分の父がケイに殺害されたという事を確信する。
複雑に考える事がないLAスタイルで密取引した拳銃で独自的に復讐しようというジェミョンの計画は、シンの妨害で無産されてしまう。
復讐方式について文句を言った後に、'意外に'とよく言われるジェミョンと'漁場管理のシン'と呼ばれるシンの説得で結局二人は再びドリームチームの復活を協議する。
ここに、ドウに弱点を突かれたチェ会長が再び王座を取り戻すためドリームチームに加勢し、ドウを狙ったドリームチームの復讐戦の新しい序幕が浮かんでいた。



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